午前11時すぎ。今日は学校行事だか何だかで、登校は午後から。かと言って俺は遅くまで寝ているわけでもなく、いつも通りの時間に目が覚めてしまった。
 しかし、同じ学校に通う妹のなまえはまだ目を覚まさない。生憎、今日は俺以外の家族は全員留守。俺が起こさない限り、眠り続けるのだろう。

「仕方ねぇな……」

 寝そべっていたベッドから立ち上がり、隣の部屋のドアを強めにノックする。

「おい、なまえ。起きてんのか?」

 ……当然起きているはずもなく。部屋の中から微かに聞こえてくるのは、規則正しい寝息だけ。まったく……申し訳程度に「入るぞ」と小さく断り、ドアを開ける。中には、ベッドの上で毛布に包まっているなまえがいた。

「おい、起きろって。なまえ!」

 ベッドの傍まで行って体を揺すると、もぞもぞと動きながら顔を出す。

「ん、お兄ちゃん…? もう学校?」
「いや、今日は午後からだけどよ。起きとかねーと、絶対後からバタバタするだろ? お前は」
「………」
「起ーきー…ろっ!」

 勢いをつけて毛布を剥がすと、寒さでさらに縮こまりながらこっちを睨んでくるが、全く怖くも何ともない。

「早く着替えて、朝飯食えよ」

 まだ頬を膨らませているなまえの頭を、機嫌を取るように一撫でしてから部屋を出た。


 朝寝坊の常習犯


「お兄ちゃん、もっと早く起こしてよ!」
「なんで準備に2時間もかかるんだよ」
「だって髪が、アイロンが!」
「………遅刻だ、遅刻。学校終わっちまう」
「あ、お兄ちゃん待って!」


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