『だって…! 私、佐藤君が好きだから!』
『宮島さん…僕も――』

「……そういえばなまえ、あんたは?」
「え?」

 ここは現世。今は、双子の姉である乱菊や日番谷隊長と一緒に、織姫の家でお世話になり、恋愛ドラマを見ている。煎餅を食べながら意味の分からない質問をしてくる乱菊の隣で、日番谷隊長は呆れた顔でお茶を啜っていた。

「あんたはって……何が?」
「恋よ、恋」
「え…っ、恋!?」
「そうよ。あんた、尸魂界でも現世でもいいから、好きな人とか居ないの?」
「す、好きな人なんて……」
「ふーん?」

 にやりと笑った乱菊が、じりじりと近づいてくる。向かい側に座る織姫と日番谷隊長も、心なしか話題に食いついているようだ。次の瞬間、脇腹を思い切りくすぐられる。

「や、やめて! ちょ、乱菊!」
「なまえ〜、早く吐いちゃいなさい」
「なまえちゃん、好きな人いるんだー?」
「織姫まで! い、居ないったら!」
「「ふーん?」」
「やっ、やめてっ」

 脇腹を押さえて笑い続けていると、乱菊と織姫に挟まれてしまった。逃げ場がない。目の前の日番谷隊長は相変わらずお茶を飲んでいて、助けてくれる気配はない。

「さぁさぁ。言わなきゃもう1回くすぐるわよ、なまえ」
「………ひ、」
「ひ?」
「ひ……檜佐木? まさか、修兵!?」
「……ひっ、日番谷隊長……」
「隊長!?」
「えっ、え!?」
「……は?」

 日番谷隊長は目を丸くしてるし、2人はニヤニヤしているし…も、もう恥ずかしい……!

「よかったですね、隊長」
「へ? えっ?」
「隊長、あんたの事好きなのよ」
「ばっ…馬鹿、松本!」
「へ………」

 乱菊に背中を押されて前へ出ると、日番谷隊長が顔を赤くしていた。



「なまえ、あたしに感謝しなさい」
「おめでとう、なまえちゃん!」
「え、え、あの」
「……まあ…そういう事だ」
「日番谷隊長…!」
「「ヒューヒュー!」」
「……お前らうるせぇ…」


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