俺の双子のなまえは、はっきり言ってすごくモテる。自分の姉妹を良く言うのは自慢になっちまうみたいであんまり好きじゃねぇが、モテるんだ。そして俺は、最近なまえが自分にとって相当大事な存在なのだと気付いてしまった。そんな今、なまえが男の隊員達にちやほやされるのが気に食わなくて。

「なまえさん!」
「あ、確か三番隊の! こんにちは」

 ……まただ。毎日毎日色んな隊から、色んな男がなまえに会いに来る。最近では女のファンも増えたが、やはり男が多いようだ。

「……ゴホンッ」
「あ…ひ、檜佐木さん…!」
「俺のなまえに…何か用か?」

 軽く咳払いをして俺の存在に気付かせ、睨みながら威嚇の言葉を投げかける。なまえに夢中で俺に気付いてすらいなかった所が、さらに気に食わねぇ。

「い…いや、久し振りに見かけたので声をかけただけです…! すみません!」
「声かけただけ、なら…もう用済んだよな? さっさと三番隊へ戻れ」
「は、はい……!」

 睨みつけて言い放つと、慌てて隊舎へと走って戻っていく。そして俺の隣には、複雑な顔をしたなまえ。

「もう、修兵! 俺のなまえってどういう事よ、彼女みたいに!」
「俺の双子のなまえ、っつー意味だ」
「なら、双子ってちゃんと入れてよね!」

 口調から察するに多少怒ってはいるようだが、顔を赤らめて言われても怖くも何ともない。ふっと笑って、綺麗にセットされた髪をぐしゃぐしゃにしてやった。



「あー! 修兵の馬鹿、ぐしゃぐしゃじゃない!」
「やっぱりなまえはまだ子どもだな」
「双子なんだから、修兵だって子どもだよ」
「……そういうのが子どもなんだよ」
「あ、もう! また笑った!」


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