ボクは今、なまえ姉さんと一緒に散歩をしている。ボクより少しだけ背の高い姉さんは、すたすたと歩いていってしまう。姉さんの白い装束のその裾を、ぐいっと引っ張って呼び止めた。
「ねぇ、なまえ姉さん」
「なぁに、ルピ。動きづらいから離してちょうだい」
「やーだ。離したら先行っちゃうだろ」
「行かないわよ」
溜息混じりに言うと、姉さんはこちらへ振り向いて、ボクの服の腕の裾を捲り上げて手を握った。
「なまえ姉さん?」
「だってルピ、歩くの遅いんだもの。手を繋いでいれば遅れないわ」
「……そっか」
なるほど。姉さんの手を握り返して、再び歩き始める。でも、何故だか分からないけれど、どうしてもよそ見をしてしまうのだ。すると、姉さんがまた眉を寄せた顔で振り向く。
「ん…あれ? なまえ姉さん?」
「おーそーい!」
「いたっ」
少し頬を膨らまして、ボクの頬を両手で抓る。痛いよ、と言って姉さんの両手を掴めば、もう、と小さな声が降ってきた。
「ちゃんと歩いて、ルピ。本当に置いてっちゃうわよ」
「わーかってるって! なまえ姉さんが早過ぎるんだよ、ぜったい」
「ルピがよそ見するからよ、ばか」
「む……」
今度は後ろ手で両手を引かれて歩き出す。それでもボクは、どうしてもよそ見をしてしまう。また姉さんが、本当に怒るわよ! と振り向いた。
……本当は、姉さんにもっと構ってほしいだけなんだけど。これ言ったらまた怒られちゃうし、言わないけどさー。
「ルピ! 早くしないと暗くなっちゃうったら!」
「わかってるってばー」
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