「今日もまた開発局ごもりか……」
「うん、たぶん」
「天気良いんだってよ」
「え?」
「外」
「……ふーん」

 作業に戻っていくなまえを見て、こんな退屈な資料探しなんてよくやるよな、と顔を顰める。なまえは大きく息を吐き出すと、目を閉じた。

「区切りついたのか?」
「んー……まぁね…って、兄さんは何もしてないじゃないの。何してたのよ」
「何言ってんだ。ちゃんとお前が作業してるの見てたぜ? 大人しく、な」

 ニィッと笑ってなまえを見ると、目の前で盛大に溜息を吐かれた上に、食べていた菓子まで取り上げられた。

「おい」
「何よ。仕事してちょうだい」
「……ったく、分かったよ」

 仕方なく席につき、なまえの作業の続きを始める。なんでも、探してほしい資料があるとかで新しく頼まれてしまい、なまえ一人じゃ手に負えないらしい。他のやつらなんて寝てやがるし……起きて手伝え、ったく。

「兄さん、お茶」
「おう。そこ置け」
「はい」

 茶を飲みながら画面に向かう。数時間後、目的の資料を見つけたらしいなまえが、あった!と声を上げる。急いで資料を纏め、上へと送ってやった。



「阿近、こっちも頼む」
「今終わったばっかだぜ? ったく」
「兄さん、私も手伝うから」
「徹夜かもしれねぇな……頼むぜ」


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