儂の孫は、この尸魂界の死神達皆から可愛がられている女子(おなご)じゃ。一応刀は持っているものの、まだまだ幼い故に死神としてはとても戦えんが……儂の所で稽古をつけて、日々訓練しておる。

「おじいちゃん、私です。なまえです」
「おお、なまえか。入るがよい」

 隊長達が集まる茶会を開いている広間の分厚い扉を、なまえが微かに叩くのを聞き、中へ入るように促す。小さな歩幅で歩いて入ってくるのだが、腰に挿した長い刀が時折床を掠り、ガリガリと音を立てた。

「なまえにはまだ、その刀は長いのう」
「うん。床にあたるの」
「なまえもこちらへ来て、茶を飲むがよい。なまえはここへ座れ。儂の隣じゃ」

 よいしょ、と言いながら椅子によじ登るなまえに、皆が微笑むのを感じる。……皆の癒し、といったところかのう。やっとのことで椅子に腰掛けたなまえは、近くの席に座っていた日番谷隊長へふと目を向けると、あ!と声を上げた。

「シロちゃん隊長!」
「……は?」
「ももちゃんが、シロちゃんって」
「雛森め……」

 茶会の静かな場の中に和やかな雰囲気が流れ、くすくすと笑いが漏れる。……日番谷隊長だけは、少々顔を背けておるが。

「なまえ、日番谷隊長と呼びなさい」

 頭を撫でて優しく窘めてやると、こくんと頷いて茶の残りを飲み始めた。



「ははは、シロちゃん隊長とはな」
「……浮竹隊長、笑わないでください」
「しかし、総隊長のお孫さんは可愛いな。将来はきっと美人になられるだろうし、強くもなるぞ」
「そりゃあ、総隊長が付きっきりで斬魄刀の練習させてますからね」


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