ボクの妹は真面目でね。なんていうか……そう、七緒ちゃんに似てるって言ったら分かりやすいかな。ボクと一緒に居る時間の方が絶対に長いのに、なんでか七緒ちゃんに似てるんだよ。おかしいな……。

「兄さん。今日もお酒飲んで、七緒さんに迷惑かけたでしょ」
「……いや、今日は飲んでたわけじゃ…」
「隊長。お部屋からこれが」
「……あ」

 隠しておいたはずの、酒の瓶。飲んだ後にしっかり元の場所に戻したつもりだったけど、油断してたなぁ。

「兄さん! お酒の瓶じゃない!」
「水と間違えて――」
「そんなの通用しませんよ。兄さん」
「……すみません」

 なまえと七緒ちゃんに頭を下げる。……なんだか隊長としての威厳が、どんどんなくなってきている気がする。顔を上げて一息つくと、すぐに突き付けられる書類の束。

「ん? なまえ、七緒ちゃん…これは?」
「お仕事です」
「午前中の間に溜まった仕事ですよ。全て夜までに目を通して下さい」
「七緒ちゃんまで…」
「兄さん、七緒さんに甘えないで!」

 なまえに道を塞がれて、七緒ちゃんにも捕まってしまえば、それ以上この二人に逆らえるはずもなく。渋々書類を受け取って、隊舎へ篭った。

「最初から仕事を優先してくれれば、あとからゆっくりお酒を飲めるのに」
「そうですよ、隊長」

 隣ではなまえと七緒ちゃんが、ボクから没収した酒を飲んでいた。



「あら? なまえも七緒も飲んでるのねー?」
「あ、乱菊さん。飲みます?」
「もちろん! ちょうど飲みたかったのよ」
「あの……それボクの酒…ねぇ聞いてる?」
「隊長はお仕事を先にお願いします」
「………」


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