私の妹は、おとなしくて物静かで……なんていうのは嘘。無邪気で活発で、怖いもの知らず……まったく困ったものだわ。今日も更木隊長に飛び乗っては、隊長の肩の上から皆に挨拶をしている。

「あ! 剣ちゃんストップー!」
「ん? あァ、なまえか」
「わーい、なまえ!」

 隊長の肩から飛び降りると、ぽすっと音を立てて私に抱きついてくる。はいはい、と頭を撫でてやれば、にこにこと笑いながら私の頬へ擦り寄った。

「俺は今から任務があってな……そっちへ向かう。そいつを任せたぜ、なまえ」
「はい。お任せください、更木隊長。いつもやちるがご迷惑を……」
「別にいい。じゃあな」
「任務、お気をつけて」
「剣ちゃん行ってらっしゃーい!」
「…ああ」

 隊長が小さく口角を上げて返事をすると、やちるが大きく手を振って見送った。一息つくと、やちるがじっとこちらを見つめている事に気付く。……とても嫌な予感。

「なまえ、あたしと」
「待って! 私これから雑務が…」
「そんなのあとでにして、遊ぼ!」

 ………やっぱり。

「やちる。私お仕事なのよ」
「んー…だって剣ちゃんいないしなぁ……帰ってくるまでさみしいよ…」

 俯くやちるを抱き寄せると、小さな手が私の死覇装を握る。副隊長とは言っても、まだまだ子どもだなぁと実感した。

「あ、そうだ。やちる、ちょっとここに居てね? 応援を呼んでくるわ」
「おーえん?」


 応援という名の巻き添え


「なまえ、用って何だよ……って、まさか…」
「やちると遊んでて。私の雑務が終わるまででいいから!」
「なっ…オイ! 待てよ、なまえ!」
「つーるりんっ!」
「………勘弁しろよ…」

「一角、何してるの」
「弓親! よし、テメェも巻き添えに……」
「! ……い、いや。遠慮しておくよ」


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