俺の一人娘のなまえは、素直だし頼めば仕事も手伝ってくれるし、松本とは比べ物にならないほどに働き者でいい子だ。
 松本のやつ、なまえにまで仕事を押し付けてどこに行きやがった……まさか、どっかの店で呑んでるんじゃないだろうな。呑んで潰れている姿が容易に想像出来てしまい、額に手を当てて溜息を吐く。頭痛がしてきた。

「父さん」
「ん、なんだ?」

 机の前に出てきたなまえに、目線だけ向けて返事をする。なまえの手には分厚い書類の山。……松本のも入ってるな。昨日までに済ませるはずだった書類も入っている。

「お前、今それ全部やったのか?」
「うん。あとね……乱菊さんから今朝頼まれた、こっちの書類にハンコ押すだけ」
「……松本め…」

 書類を受け取り1枚1枚目を通すと、綺麗に纏められていた。もう幼子という歳でもないが、よくやったな、と頭を撫でて褒めてやる。

「いつもなまえにばっかり仕事させちまって、悪いな…松本がアレだからよ」
「ううん、楽しいから大丈夫」

 微笑んだなまえの頬を撫で、後で好きなモン何でも食わせてやるからな、と約束した。



「えー! 隊長、何でも好きな物食べれるって本当ですかぁ?」
「松本、お前は残って書類整理だ」
「なまえばっかりズルーい!」
「乱菊さんも行きましょう?」
「きゃー! なまえ大好きよ」
「こら、なまえ! 余計な事を…」


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