「おい、なまえっ」
「お兄ちゃん!」
「まったくもー……」
さっきから俺から離れようとせずに、ぎゅうっと抱きついているのは、妹のなまえ。すごく可愛いんだ、可愛いんだけど……!
「なまえ…少し離れて?」
「い! や!」
ああ……これが悩みだ。そう、なまえは俺に対しては酷く甘えん坊。俺もなまえの事は好きだし、大切だから嬉しいんだけど……皆の前でもお構いなしで、この調子だからなぁ。
「ははっ、今日も妹連れてんのな! よっ、なまえ!」
「よ!」
またなまえは…! いつも山本の挨拶を真似するんだ。女の子なのに、挨拶が「よ!」なのはちょっとマズいだろう。
「こら! なまえは“こんにちは”だろ?」
「いーじゃねぇか、ツナ! 俺は別に構わないぜ?」
「……まったく、山本までなまえには甘いんだから…」
少し呆れ気味に見やると、山本はにこにこしながらなまえに手を伸ばした。
「だってなまえ、可愛いもんなー! うちにも妹に欲しいくらいだぜ?」
「たけしお兄ちゃん!」
「おう、いくらでも遊んでやるぜ?」
いつも通り爽やかに笑いながら、なまえの頭を撫でる。まるで本当の兄妹みたいで微笑ましい気持ちになるが、横から突然怒声が飛んできた。
「おい、野球馬鹿! 10代目の妹さんのなまえさんに何してやがる! 果てろ!」
「おっ! 獄寺もなまえを妹にしたいのか?」
「うるせー!」
ひょいひょいとダイナマイトを躱しながら、山本が獄寺くんに問いかける。またもやいつも通りの喧嘩に発展してしまった。
「……なまえ、楽しい?」
「ん!」
笑いながらその光景を眺めるなまえに問うと、満面の笑みが返ってくる。なまえがこんなに楽しそうに笑ってくれるなら、“ファミリー”ってのもいいもんだな、なんて思えるんだ。
「お兄ちゃん、おなかすいた」
「本当自由な子だな、なまえは…」
「あれ? ツナ、もう帰るのか?」
「うん。なまえがお腹空いちゃったみたいだからさ」
「お気をつけて! 10代目、なまえさん!」
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