今日は妹のなまえが、運動会でリレーの選手として走る日だ。空は快晴、なまえの体調も万全の状態。自分が運動部なだけに、妹も運動で選手に選ばれている事が嬉しくて仕方ない。部活で疲れていようが宿題が溜まろうが、リレーの練習には必ず付き合ってきたから、なまえの出番が楽しみだ。

「なまえ、頑張れよ! ツナ達と一緒にここで見てるからな!」
「うん!」
「なまえちゃん、しっかりね!」
「ありがとう、ツナ兄!」

 赤いハチマキを巻いたなまえは、アンカーの印の赤い襷を肩に掛けていた。競技開始の合図とともに、第1走者が走り出す。赤組は2位、それでも抜かれそうな状態だった。

「なまえちゃん大丈夫かな?」
「ん?」
「……いや。あんまり離されるとアンカーのなまえちゃんに、プレッシャーがかからないかなって…」
「ああ、まぁなー…」

 心配そうになまえを見つめるツナに苦笑を返し、視線を戻す。ツナの心配を余所になまえはとてもリラックスしていて、いい表情をしていた。

「なまえの顔、ちゃんと見てみろよ! ツナ」
「え?」
「楽しそーな顔してるぜ!」
「あ…!」

 ツナがなまえに目を向けた時には、もうバトンを受け取って走り出す瞬間だった。

「赤組、追い上げていきます! 白、青も続きます!」

 アナウンスがそう告げ終わるのとほぼ同時、なまえが堂々の1着でゴールテープを切った。

「お兄ちゃん、見て! 1位だよ!」
「おう! 頑張ったなー!」
「お兄ちゃんが、練習一緒にしてくれたおかげだよ?」
「ははっ。1位取れたのはなまえが頑張ったからだぜ? おめでとうな、なまえ!」

 犬のようにわしゃわしゃと髪を撫でて抱き上げて褒めてやると、それは嬉しそうに笑った。


 2人で取った1等賞


「こりゃ、しばらくなまえを自慢出来るなー!」
「山本は本当になまえちゃんの事好きだね」
「フン…野球馬鹿が」
「今日のなまえの走りは極限だったぞ!」


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