今日は隼人の誕生日。もちろん双子である私も誕生日なんだけれど……どうしよう。もう当日なのに、隼人へのプレゼントが決まっていない。毎年お互いに何かしらプレゼントを交換しているのに。しかもその手ぶら状態で、ただいま誕生日パーティーに参加中だ。

「あれ? なまえちゃん、ケーキ食べないの? 俺の母さんのケーキじゃ、口に合わなかったかな…」

 心配そうなツナに覗き込まれ、顔色も良くないよ、と言われてしまう。

「ん、大丈夫。ケーキも美味しいよ!」
「ならいいけど…」
「あー! なまえ、ケーキ残してる! もったいないから、ランボさんが食べてあげるもんねー!」
「てめ、アホ牛! それはなまえの分のケーキだ、触んな!」
「ぐぴゃ!!」

 私のケーキに手を伸ばすランボを隼人が怒鳴りつけているのを見ながら、引き続き心の中でダラダラと冷や汗を流す。

「おい、なまえ。確かにお前食ってねぇな……腹でも痛ぇのか?」
「あ、ううん。だだ大丈夫!」
「何噛んでんだよ……変なやつ」



 結局悩んでいる間に、ツナ達が開いてくれた誕生日パーティーは過ぎていった。帰り道、必然的に私と隼人は2人きり。

「なぁ、なまえ」
「ん……何?」
「あのよ」
「うん」
「誕生日のプレゼント…なんだけど」

 ――ぎくり。

 ずっと悩んでいたその単語に、思わず反応してしまう。

「俺、考えてねぇんだ」
「……へ?」
「悪い。ほら…ボンゴレの事でもバタバタしてたしよ、」

 もごもごと申し訳なさそうに謝るので、思わず笑ってしまう。なんだ、隼人も考えてなかったんだ。それはそれで寂しい気もするけれど、よかったかもしれない。

「わ、私もなんだよね。ギリギリまで考えてたんだけど……思いつかなかったの」
「んだよ…なまえもかよ」
「……双子って、こんなところまで似るのかな」
「うっせ、バーカ」

 頭を小突かれ、私からも脇腹を軽く突いたりして反撃する。馬鹿やめろ!と赤くなる隼人を見て、声を上げて笑った。

「ねぇ、隼人」
「…んあ?」
「プレゼント、頼んでいい?」
「何だよ」
「……あのさ」

 ずっと、双子でいてね。

「……は?」

 私の少し前を歩く隼人が立ち止まり、こちらを振り向く。

「あのな……双子っつーのは、切っても切れねーモンだろうが」

 頼まれなくたって俺はこれから先も、ずっとなまえとは双子の兄妹だ。

「変な事頼むな。馬鹿なまえ」
「隼人が頭良すぎるから、バランス取って馬鹿なんだよ」
「……だろうな」
「やっぱ双子やだ!」
「あ"ぁ!?」


 それでもやっぱり、双子がいいけど。


「隼人、帰ったら宿題教えて」
「…仕方ねーな」

(なんだかんだ言って、こういうとこは甘いんだよね)


[ back ]