リボーンがツナの修行に出かけている間、沢田家ママンの奈々さんと一緒に、家中の大掃除をした。気付けば時間はもう夕方で、外は薄暗くなってきている。

「あらあら、こんな時間! 夕飯の買い物をしてくるわね」
「それなら私も…」
「あら、なまえちゃんはいいのよ。イーピンちゃん達も遊びに行ったし、皆が帰ってきた時に誰か居ないと困るもの」
「じゃあ、お留守番してますっ!」
「お願いね?」

 買い物に行く奈々さんを見送り、部屋の整理をしながら皆を待つと、イーピンちゃん達が帰ってきた。

「なまえ、ただいま!」
「なまえ姉、ただいま」
「イーピンちゃん、フゥ太君。おかえり!」
「ガハハー! ランボさんが帰ってきたぞ、なまえ! 抱っこしろー!」
「ふふ、おかえり」

 走って飛び付いてくるランボ君を抱き上げようとしたその時、一瞬でランボ君が視界から消え去ってしまう。

「邪魔だぞ」
「ぐぴゃ!!」
「あれ、ランボ君は?」
「いねーぞ、そんなヤツ」
「あら、リボーン。おかえり」
「ちゃおっス。ツナも一緒だぞ」
「おかえり、ツナ」
「ただいま、なまえ」

 リボーンは、少し照れたように笑うツナを(彼なりに)軽く小突き、テーブルについてコーヒーを所望していた。彼の大好きなエスプレッソを出してやると、やっぱりなまえのコーヒーが一番だな、と言いながら飲み干す。

「あら、皆帰ってたのね?」
「なまえ、ただいま」
「奈々さん! ビアンキも一緒だったの? おかえりなさい!」

 リボーンの姉である私はビアンキから気に入られ、今も早速抱きしめられている。なまえは私の義姉になる人だもの…と言って、とても大切にされているのだ。

「なまえ、俺は腹が減ったぞ」
「うん。奈々さんも帰ってきたし、今から作るよ」
「じゃあ、それまで部屋でツナと勉強だな」

 ツナを引きずりながらリボーンが部屋を出た後、リビングのドアを閉めてツナとリボーン以外の皆が集まる。
 そう、今日はリボーンの誕生日。皆でこっそり準備していた、折り紙の輪を繋げた飾り付けや、各々のプレゼントを持ち寄る。

「ランボさんも用意してやったもんね!」
「ありがとう、ランボ君」

 何かよく分からない物体を差し出されるが、笑顔で受け取って頭を撫でてやる。すると満足したのか、椅子に座って満面の笑みを浮かべていた。
 それから奈々さんの手伝いをして、ケーキを作ったり、奮発したのだろう高そうなお肉を焼き上げたりしていった。

「……よし、そろそろいいかな?」
「ええ、いいわよ」

 奈々さんの言葉を合図に、リボーン達を呼びにランボ君が走って出ていく。数秒後、リボーンとツナ、その後ろから泣きながらランボ君が戻ってきた。


 おめでとう、リボーン!


「……こそこそしてると思ったら、こういう事か」
「びっくりした?」
「……ああ。ありがとな」

 ニッと笑ったリボーンが席についたのを確認し、皆で乾杯をした。

「リボーン。おめでとう」
「なまえからのプレゼントは、確か新しいスーツだったな。ちょうど新調しようと思ってたんだ。よく分かったな」
「何年あなたの姉をやってると思ってるの? 最近スーツがくたびれてきた事くらい、気付いていたわ」
「……そうか。早速明日から使わせてもらうぞ」
「うん」

 皆から見えないようにこっそりリボーンの頭を撫で、またカップへエスプレッソのおかわりを注いだ。

「ふふ。リボーンの頭を撫でるなんて、いつ以来だったかしら」
「……俺の頭を撫でられるなんて、姉であるなまえの特権なんだぞ」


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