「はぁ……」

 今日も1日勉強ばかり。その後には家事やバイト……もう疲れて何もしたくない。そんな状態がもう、約1週間続いている。毎日の勉強にバイト4連勤はさすがにつらい。
 自室のベッドに音を立ててダイブすると、この前兄が買い替えてくれた柔らかなベッドは、軽く軋んで揺れた。

「疲れた…」

 宿題があるけれど、少し寝てしまおうか。ふかふかの毛布の上でうとうとしていたら、ノックもなくドアが開いた。驚いて振り返ると、兄が部下を従えて立っていた。疲れきった様子の私を見ると、下がれ、と言って部下を帰す。

「お兄ちゃん」
「疲れてるみたいだな、なまえ」
「……うん」
「もう寝るのか?」
「んー……でも、お腹空いたかも」
「なら、少し出ようぜ」
「え?」
「たまには兄妹2人で、な?」

 美味い店に連れてってやるからと髪を撫でられ、小さく頷く。そういえば、兄と出かけるのは久々かもしれない。ずっとお互いに忙しかったし、兄が帰ってくる時間には私はとっくに寝てしまっていたから。少しだけ速まった鼓動を抑えて急いで着替え、車の中の兄の隣へと乗り込んだ。



「……お兄ちゃん、ありがとう」
「ん? 今何か言ったか、なまえ」
「ううん、何でもないや」
「? そっか」


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