「好きだよ、なまえチャン」
「白蘭。チャン付けやめて」
「だって子どもの頃から、なまえチャンの事はなまえチャンだったよ」
「……まぁ、それはいいとして。好きって。双子の兄妹でしょ」

 やめてよ、と笑いながら振り向くと、視界が真っ暗になった。あれ、もしかしなくてもこの状況……。

「びゃ、白蘭! 離して」
「なまえチャン。好きだよ」
「白蘭…?」

 腕の中で白蘭を見上げると、本当なのかふざけているのか分からないような笑顔でこちらを見ていた。我が双子ながら…何を考えているのか本当に読めない人だ。

「白蘭てば…」
「……なんて、びっくりした?」

 ぱっと体を離してにっこりするので、力が抜ける。やっぱり、ふざけてた?

「そうだよ、双子の兄妹だもん! 好きって、兄妹愛だよね!」
「それはどうかな」
「え」
「好きだよ、なまえ」

 真剣な顔でそう言い残し、正チャンに怒られるからそろそろ行こうかな、と呟いて去っていった。

「最後のやつ……チャン付いてない…」



「……またなまえさんをからかって」
「からかう? 僕はなまえチャンが大好きだよ」
「本気ですか、妹でしょう?」
「……どうかな」
「はぁ……もう聞きませんよ」


[ back ]