「なまえ姉さん、起きてくれ! 極限に朝だぞ!」

 大声とともに私を起こしに来たのは、弟の了平だ。朝のトレーニングから戻ってきたのだろう、ジャージ姿のまま私の部屋の入口でシャドーボクシングをしている。

「おはよう、了平。京子は?」
「京子ならもう起きているぞ!」
「わかったわ。私も着替えてすぐ行く」
「下で京子と待っているぞ!」
「うん」

 了平が階段を下りていく足音を聞きながら着替えを済ませ、自分もダイニングへ向かうと、2人とも朝ご飯の準備をして待っていてくれた。

「お姉ちゃん、遅いよ」
「ごめんね、京子。昨日のバイトが夜勤だったから」
「食べよ、ご飯!」
「そうだな! 俺も極限に腹が減った!」

 その一言で食事が始まり、3人仲良く朝ご飯を食べる。了平は早々に食べ終わり、早くトレーニングをしたいと言わんばかりに立ち上がった。

「了平、もう行くの?」
「今日もトレーニングをしながら学校へ行くからな! 先に行くぞ!」
「ええ、行ってらっしゃい」

 了平が出ていった後、ゆっくりと食べ終えた京子も席を立つ。

「京子も行くの?」
「うん、遅刻しちゃう。お姉ちゃんは、大学の講義は?」
「今日はお昼からなの。まだ大丈夫よ」
「じゃあ、私は行くね!」
「ええ、気をつけてね」

 京子を見送って皿洗いを済ませ、久々の二度寝をしようとしたら、了平も京子も揃ってお弁当を忘れているのが目に入った。


 夜勤明けのランニング


「とりあえず走って出たけれど……了平には追い付けなさそうね」
「あれ、お姉ちゃん?」
「これ……お、弁当、っ……」
「ありがとう! あ、お兄ちゃんには私が渡すから……お姉ちゃんは家で休んで?」
「あ、りが、と…!」


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