犬や千種と別れて個室で横になっていると、部屋のドアが開いて、誰かが入ってくる気配がした。振り向くとそこには、なまえ姉さんが居た。

「なまえ…姉、さん?」
「だいぶ疲れているみたいね」
「あ……」
「いいの、寝てて。そのままで…」

 自分でも分かるほどに、体が熱い。今日戦った相手はそれほど強いわけでもなかったのに、手間取ってしまったのはこのせいなのだろうか。

「ずいぶん無理をしたようね」
「なまえ姉さん……ごめんなさい」
「もう。体調が悪い事、どうして言わなかったのよ」
「え……」
「言ってくれれば、骸様や皆に今日はあなたは戦えないからってお願いしたのに」
「そんな…ダメ、そんなの」

 ギシッと音を立てて、ベッドの端になまえ姉さんが座る。軽く汗が滲んだ額を、姉さんは優しく拭いてくれた。冷たいタオルがとても気持ち良い。

「今度はもう、無理しちゃだめよ」
「………うん」
「次に無理して怪我なんかしてご覧なさい。今度こそ怒るわよ?」
「は…はい、」

 もう一度私の頭を撫でて、おやすみを言うと、なまえ姉さんは静かに部屋を出ていった。



「あれ、なまえ! あの女は? あいつ居ねーと、骸様と連絡取れねーびょん!」
「あの子は寝ているわ。あなた達も、今度から髑髏の体調を少しは気遣ってくれない?」
「……む…気が向いたら、な!」
「……犬も、なまえには逆らえないんだね」
「う、うるせーびょん!」


[ back ]