俺には、まだ幼い娘が一人いる。ボンゴレからも皆からも可愛がられている、大切な娘だ。名前はなまえ。

「パパ、パパ!」
「ああ…なまえ。おかえり」
「今日ね、沢田くんに会ったよ!」
「ボンゴレの……?」

 遊びに行って帰ってきたなまえが、笑顔で走ってきて抱きついてきた。小さな体を抱き上げて、優しく抱きしめてやる。どうやら近くの公園で遊んでいたら、ボンゴレ親子に会ったらしい。

「あのね、沢田くんパパから、これもらったの!」
「ん?」
「ほら、あめ! いーっぱい!」
「こんなに……よかったな、なまえ。大切に食べなさい」
「うん!」

 これは次に会った時、ボンゴレにお礼を言わなければならないな……なまえも喜んでいるし、感謝しなくては。小さな両手いっぱいに握った飴を見て嬉しそうに笑うなまえの髪を撫で、ソファへ降ろしてやる。するとなまえが、飴をひとつ取って俺の手の平に握らせた。

「なまえ?」
「パパにもあげる。ぶどうの、あめ!」
「……ありがとな」

 なまえの目の高さになるようにしゃがみ、飴をしっかりと受け取ってお礼を言う。ぶどうの飴か、懐かしい。昔の俺も、この飴が好きだったな。これもまさか、ボンゴレの厚意なんだろうか。

「……なまえ、ボンゴレの所へ行こうか」
「え?」
「お礼をしなくちゃならないからな」
「うん!」

 そして俺はなまえの手を取り、ボンゴレの所へと向かった。



「いらっしゃい、なまえちゃん。飴は美味しかった?」
「うん! ありがとう、沢田くんパパ!」
「ボンゴレ、なまえがお世話になって…」
「いや、飴あげただけだし。うちの息子も遊んでもらったから、俺こそありがとう」


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