「なまえ姉さん、任務だよ」
「え、任務?」
「任務っていうか……おつかい、かな」

 ニィと口角を上げるマーモンが、ふよふよと部屋に入ってくる。そのまま私の隣に座ると、マーモンはこちらを軽く見上げた。

「ねぇ、なまえ姉さん。今回のおつかいが終わったら、報酬上がるかな…」
「どうかしら。ボスに聞いてみなくちゃわからないわね」
「なまえ姉さんから頼んでよ、僕の報酬上げてもらえるようにさ」

 ……姉である私の事まで報酬アップに使うだなんて…おそろしい子。まあ、お金好きでこそマーモンなんだけど。でも、ボスが私の頼み事なんか聞いてくれるかしら。

「いいわ。頼んであげる」
「ありがとう、なまえ姉さん」
「ただし、条件つき」
「何だい?」
「アイス買って。お仕事終わったら」
「いいよ。報酬アップが実現すれば、アイス程度の支出なら構わないさ」
「ふふ、ありがと」

 着替えのためにマーモンを一度部屋から追い出して、任務のための準備を始める。すでに私の頭の中は、アイスの事でいっぱいだった。



「ボス、お話が」
「……なんだ」
「弟の報酬、上げてやってくださいな」
「あぁ?」
「あの子の報酬が上がったら、私はアイスを買ってもらえるのよ」
「……アイスくらい、俺が好きなだけ買ってやる」


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