「はひー! なまえ、なまえ!」
慌てたように走ってきたのは、私のお母さん。私はお料理の練習中で、今まさにコンロの火をつけた所だった。レシピに“弱火で熱する”と書かれていたから弱火にしていたのだが、お母さんは飛んでくるなり火を消した。
「お母さん、弱火でフライパンを熱したいんだけど……」
「なまえ! 一人で火を使っちゃダメでしょう? デンジャラスですっ!」
「でも、私もう中学生になるし」
「まだお料理は始めたばかりでしょう? 危ないです! 火を使うようなお料理なら、お母さんにちゃんと言いなさい。火傷しちゃったらどうするの?」
困ったような顔で頭を撫でられ、お母さんなりに心配してくれているようだと理解する。ちょっと過保護すぎる気もするけれど。でも、ちょうどよかった。次の作業が苦手な所だったから、聞こうと思っていたんだ。
「お母さん、みじん切りってどうすればいいの? 写真みたいにうまく細かくならないの」
「それは包丁をこうやって使うんです。ちゃんと見ててね」
トントンと軽い音を鳴らしながら、玉葱のみじん切りをして見せてくれる。綺麗に細かく切られた玉葱は、小皿の上へと分けられた。
「さぁ、なまえはにんじんを切ってみて。にんじんもみじん切りですから!」
「うん!」
さっきお母さんがやっていた通りに切っていくと、綺麗に細かく切る事が出来た。思わずお母さんを見上げると、笑顔で頷いてくれた。
「とっても上手ですっ、なまえ!」
「ありがとう、お母さん」
初めてのお料理
「ハンバーグ美味しいね、なまえ」
「お母さん、また一緒に作ろうね」
「そうだ! 今度は京子ちゃんやイーピンちゃんも呼んで、皆でお料理しようか!」
「うん!」
[ back ]