「う゛ぉおおい!」

 どたばたという騒音とともに私の部屋へ入ってきたのは、弟のスクアーロだ。なんで静かに入ってこられないのかしら。ドアが壊れちゃう。

「あなた、ノックも出来ないの?」
「んな事言ってる場合じゃねーぞぉ!」
「……そんな大声出さなくたって、聞こえてるわよ! もう」

 片方の耳を塞ぎながらも、もう片方の手は動かして書類を整理する。ボスから任された書類は、まだまだ山積みなのだから。

「あのオカマ……俺の髪を結ぼうとして、追いかけてくるんだよ! ちょっとでいいから匿ってくれぇ!」
「………」

 ルッスーリアったら。スクアーロの髪は確かに綺麗だし、触りたくなるけれど……私が結おうとしても怒るんだもの、逃げてくるのも無理ないわね。

「おさまったら出ていってね。私まだまだ、仕事がたくさんあるのよ」
「う゛ぉおい、分かったぞぉ!」

 彼はドアの隙間から廊下の様子を窺い、ルッスーリアやベル達が騒いでいるのを見つけると、「メンバーが増えてるぞぉ!」と叫んだ。


 声が大きい


「隠れているつもりなら、静かにしたら?」
「あ、いた! なまえの部屋だ!」
「言わんこっちゃない」
「……あ゛」


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