荒川河川敷、橋の下でぼんやりと川を眺めている少女・なまえ。見つめる先の川の中からは、ボコボコと泡が立っている。そこからザバッと水しぶきを上げて現れた一人の女性は、母親のニノだ。
「お母さん!」
「なまえ、魚がとれたぞ。今日は大漁だ」
「今日も焼き魚?」
「ああ。でも昨日とは違う魚だぞ。あとは野菜だな…」
ニノはなまえの手を引いて、歩き出す。向かった先は、P子の野菜畑だ。
「あら、ニノ! いらっしゃい」
「P子ちゃん」
「なまえも一緒なのね? あ、野菜でしょ? ちょうど収穫したばかりなの」
「ああ。適当に野菜をもらえるか?」
「ちょっと待ってて」
P子は畑の中へと駆けていき、数分すると、トマトやきゅうり、ピーマンなどのたくさんの野菜をカゴいっぱいに抱えて戻ってきた。
「はい! こんなもんかしら?」
「ああ、ありがとう」
「このトマトおいしそう。綺麗!」
「私が作ったんだもの、おいしいに決まってるじゃない。残さず食べてね、なまえ」
「うん!」
「これはおまけ。持ってって」
「ありがとう!」
おまけとして渡されたトマトをかじりながら、ニノとなまえは自分達の住む場所へと帰っていった。
「お母さん、魚焦がしちゃった……」
「…でも食えるぞ。気にするな、なまえ」
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