1日を終え、着替えを済ませてベッドに倒れ込んだその時、荒々しく部屋のドアが開いた。

「姉ちゃん!」

 ……寝たフリ、寝たフリ…。私は今疲れているんだ、このまま寝てしまう予定なんだから。

「姉ちゃん、起きてんだろぃ?」

 枕元まで来て、ウソ寝してんだろぃ!と大声を出され、渋々目を開ける。人の眠りを妨げたにも係わらず、やっぱりウソ寝だと笑うブン太に怒りを覚えたが…そこは可愛い弟。堪えるしかない。

「何、ブン太…私今疲れてて…」
「姉ちゃん、宿題教えてくれ」
「……へ?」
「頼む! 俺の頭じゃ限界なんだよぃ」

 真顔で頼んだかと思えば、姉ちゃんしか居ないんだと頭を下げ始めた。可愛い弟に頭を下げられたのでは、聞いてやるしかない…と思ってしまうのは姉としての宿命か。

「やっぱ、ダメ…?」
「…いーよ、ちょっとなら教えてあげる」
「やった! サンキュ、姉ちゃん!」

 ばさばさと宿題を広げ始める弟に、少しだけ笑みが漏れる。ブン太に教えるのは毎回骨が折れるから……今夜は徹夜かしら。



「…で、この量は何?」
「3日分! 溜めちまったんだよぃ」
「…その日のうちにやりなさい!」
「だって部活で眠ぃんだよぃ…ふあ…」
「こら、寝るなー! 眠いのは私よ!」


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