僕には妹がいる。頭も悪くなく、校則も守る。生徒会の仕事を手伝ってくれたり、僕の役にも立ってくれている……が、ひとつだけ問題がある。

「ボッスン!」
「おー、なまえ!」

 スケット団と仲が良い事だ。

 あのような奴らと友達になってしまっては、なまえの勉強や性格に影響するのではないかと、実の所気が気じゃない。しかし、なまえはスケット団の部員達ととても仲が良く、今更どうにも出来なくなってしまったのだ。

「なまえ、こっちへ来い」
「あ、お兄ちゃん!」
「げっ…椿!」

 僕に向かって「げっ」とは……なまえに対してはあんなにヘラヘラした顔で笑っているくせに、そんなに僕が気に入らないか。僕も貴様が気に入らないがな。

「今すぐなまえから離れろ。なまえはこれから塾の時間のはずだ」
「本当だ、もう5時! ありがとう、お兄ちゃん!」
「え、ちょ…なまえ! もう行くのか!?」
「また明日ね! うわ、走らなくちゃ間に合わないかも…!」

 急いで鞄を持って走っていくなまえを見送り、少し安堵する。まったく、なまえがいなくなって僕と2人きりになった瞬間、そのあからさまにつまらない表情をするのは何なんだ。本当にふてぶてしい奴め…!

「なあ、椿…お前さ」
「何だ」
「ヤキモチか」
「………ヤキモチだと? 何に対してだ」
「俺が自分の妹と話してただけで、そんなに気に入らねぇか」

 にやりと憎たらしい笑みを浮かべて、「可愛いとこもあんじゃねーか」と言って藤崎は去っていった。

「僕は――」


 妬いてなどいない!
 ただ、妹に悪い虫が付かないように見守っているだけに過ぎん!


「椿君は妹思いですね。少々過保護にも感じますけれど」
「かっかっか! いいじゃねえか、仲が良いに越した事はねえだろ?」


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