※標準語ヒロイン


「なまえー! アタシのペロキャンの新発売のモツ鍋味、食べたやろ!」
「食べてないよ!」
「なまえがヒメコのグロい味覚についていけるわけねぇだろ」
「何やとボッスン!」

 私は今、新発売のペロキャンを食べたと疑われている。双子は似るって言うけれど、さすがに私はペロキャンは食べられないかな……我が双子ながら、驚きの味覚だ。

「スイッチ……ヒメコに疑われた…」
[いつもの事だろう]
「でも私、ペロキャンなんて食べないよ」
「食べてたら化けモンだっつーの」
「それはアタシに化けモンて言うてるんやな? ボッスン」
「ギャァア!」

 スイッチの隣に座ってヒメコとボッスンの喧嘩を見学していると、勝利を収めたヒメコが数分後に戻ってきて、スイッチとは逆隣に座った。

「はぁ……ホンマ、モツ鍋味どこ行ったんやろ。確かにここに置いたんやけど…」
「まぁ、また買おうよ。帰りにさ」
「……なまえ、付き合うてくれるん?」
「うん。どうせ帰り一緒なんだから」
「おおきに、なまえ」

 ぎゅっと抱きつかれたのでぽんぽんと頭を撫でてあげると、ヒメコが「アタシの味方はなまえだけや!」と叫び出した。ボッスンは再び微妙な顔をして、その光景を見ていたけれど。

「なまえ」
「何? ボッスン」
「お前、ヒメコに似なくて良かったな」
「へ?」
「いや……味覚も正常だしよ。それに…」
「それは何? この期に及んで、まだアタシの味覚がおかしいって言うんやな?」
「ギャー!」
「え、それに何? ボッスン!」
[それになまえは可愛いし、と言いたかったんだろう。おそらくな]
「……え」

 スイッチの言葉に固まっていると、ヒメコとボッスンまで固まった。

「そうなん? ボッスン」
「え、いや…その…」
「何やねん、その微妙な顔は! さては図星やな!? お前みたいなムッツリ男に、なまえは絶っっっ対に渡さへん!」

 次の瞬間、スケット団の部室内にボッスンの断末魔の叫びが響いた。



「……ヒメコ、ボッスン生きてる?」
「多分な。帰るで、なまえ。もう今日はペロキャンええわ。明日の朝付き合うてくれる?」
「う、うん」
「なまえはボッスンには渡さへんで。なまえにはもっと相応しい男が他にいるハズや。そいつが現れるまで、なまえはアタシが守ったるからな」
「……? あ、ありがとう」


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