オイラの姉さんは、オイラよりもすごく強くて、アンナからも一目置かれている女なんだ。名前はなまえっていって、しっかり者で人気者の自慢の姉さんだ。

「なまえ姉さん?」
「あれ、葉?」

 まん太と別れて家へ帰る途中、買い物を済ませた姉さんに会った。ふわりと微笑んだ姉さんは、両手に大きなビニール袋を持って重そうにしていた。

「そっち、持とうか?」
「あら、持ってくれるの? でも重いわよ、こっちの袋」
「……修行の一部、かなぁ。きっとなまえ姉さんがアンナだったら、無理矢理持たされてるだろうなぁ」
「ふふ。いまだにアンナには頭が上がらないのね」
「ウェッヘッヘ……あ、アンナには言わないでくれ。修行メニュー増やされるんよ」
「分かってるわ、もちろん」

 家の前に着いて、なまえ姉さんがオイラから袋を受け取り、笑顔でお礼を言ってくれる。すると家からアンナが出てきた。

「あ、アンナ……!」
「あら、葉。なまえ姉さんと一緒だったの? 今日の修行メニューは、全部済ませたんでしょうね?」
「……ちょ、ちょっと夕飯まで走ってこようかなぁ…なんて……」
「へぇ。いい心がけじゃない、行ってらっしゃい」
「……行ってきます…」

 仕方なく玄関へ逆戻りすると、なまえ姉さんが見送りに来てくれる。

「災難ね」
「アンナはなまえ姉さん贔屓だからなぁ」
「何言ってるの。ほらほら、早く行かないとアンナに怒られるわよ」
「そうだった…ウェッヘッヘ…」

 そしてオイラはふらふらと、再び家を出るのだった。



「……なまえ姉さん、葉を甘やかさないで」
「アンナ、違うのよ。葉は自分から、荷物を持つのを手伝ってくれたのよ」
「へぇ。やっぱり姉さんには優しいのね」
「そのうちアンナにも、もっと優しくなるわ。どんどん葉を鍛えてあげてね?」
「もちろんよ、なまえ姉さん」


[ back ]