葉の家へ行く途中、道家の屋敷を出てからしばらく歩いた所に、1人の女が立っているのが見えた。少し警戒しながら近付くと、それは紛れもなく俺の双子のなまえで。詰めていた息を吐き出し、彼女へと近付いた。

「なまえか」
「ええ、調子はどう? 蓮」
「まあまあだ。そっちの修行は進んでいるのか、なまえ」
「うん。葉と一緒にアンナの所で」
「……そうか」

 ふっと笑い合い、並んで歩く。俺と同じくらいの身長のなまえは、少し膨らんだ袋を持っていて、中からは何やらいい匂いが漂ってくる。

「なまえ、それは?」
「ん、ああ! そうだった。これ、蓮と合流したら食べようと思って買ってきたの。桃まん」
「桃まん……!」

 ほかほかと湯気を立てるそれをひとつ受け取り、一口かじる。体の中にふわりと熱が伝わっていくのを感じて、頬がほころぶ。

「美味しいでしょ?」
「……ああ」
「あとは葉達のと、これはアンナのね」
「? 何故それだけ大きいんだ」
「アンナには特にお世話になったから!」

 なまえは、残りの桃まんを袋へ包み、大切に鞄の中へしまった。はあ、と白い息を吐きながら、葉の家への道のりを再び歩き始めた。

―――――

「あら、なまえ。桃まんじゃないの」
「アンナのは大きいのよ」
「ありがとう。葉も食べなさい」
「ウェッヘッヘ…いつも悪いな、なまえ」


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