あたしの双子のなまえは、どうも弱々しい。ああ、悪い意味ではなくて、あたしと同じで体が弱いというか何というか。言い表すなら、儚い、がちょうどいいかな。

「なまえ、どうかした? 何か顔色悪いよ」
「ん、大丈夫……」
「そう?」
「けほっ……」
「…なまえ? なまえ!」

 あたしは手術を受けたけれど、なまえはまだ手術を受けられていない。だから、たまに発作を起こしたりもする。なまえの発作の苦しさも痛みも、あたしが一番分かってあげられる。ゆっくりと背中を撫で、近くにあったソファへ寝かせると、専属の医者を呼んだ。すぐに発作は治まり、特に心配はいらないらしい。

「なまえの嘘つき」
「……う」
「大丈夫なんて、嘘」
「茅架…」
「あたしはなまえと同じ症状なんだから。あたしにまでそんなに無理しないでよね!」

 タオルをのせられたなまえの額を軽くペシッと叩いて言うと、なまえが小さく頷いた。やっぱりこの子には、あたしがついていなくちゃダメみたいだわ。

「なまえは、あたしのたった1人の姉妹なのよ」
「うん」
「ずっと大切な姉妹。ね?」
「うん。茅架」
「さぁ…落ち着いたら、那由たちの所に遊びにでも行くか! ね、なまえ!」

 それまでもうちょっと休みなよ、と髪を梳くように撫でると、なまえは静かに目を閉じた。その細い手を握り、私もソファにもたれて少し眠った。

―――――

「可威ー、那由ー、絃青ー!」
「あーそーぼっ」
「なまえ、茅架……今何時だか分かってるか」
「「夜の9時過ぎ」」
「……ま、皆居るけどな…」
「あ、柚留も居る!」
「なまえちゃん! 久し振り!」


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