俺の双子のなまえが朝早くに部屋へ来たかと思えば、突然腹の上に勢いをつけて跨がってきた。それほど重くはないものの、朝一でいきなり乗られれば苦しいもので。

「可威! 起きてったら!」
「あー……何だよ、なまえ…」
「もう、今日は一緒に出かける日なのに。いつまで寝てるの?」
「……そういや出かけるとか言ったか」
「はーやーく! 起きて!」

 腹の上でなまえがぼすぼす跳ねる。仕方なく起き上がると、にっこりと満足そうに微笑んだなまえが抱きついた。外出が楽しみ過ぎてテンションが相当高いようなので、少しからかってやろうか。

「……俺は双子の妹とヤる趣味はねぇぞ」
「違うわよ、そんなんじゃないから!」

 真っ赤になって俺の胸を叩いてくるので、ぎゅっと抱きしめてやる。ぎゃっ! という何とも色気のない悲鳴を聞くと、呆れて溜息が出た。
 ゆっくり体を離してやると、なまえはこれ以上ないほど真っ赤になってベッドから飛び降りる。

「ゆ、ゆ、柚留に訴えてやる!」
「柚留はお前の事好きだからな……でも怒らねぇよ、たぶん」
「……可威の変態」
「…………襲ってやってもいいぜ。気が変わった」
「遠慮します!」

 話しながらおもむろに着替えようと服を脱ぎ始めると、なまえが慌てて目を覆って部屋を出ていき、ばたんと閉じたドアの向こう側から怒鳴り始めた。

「可威の馬鹿! 女の子の前でいきなり着替えるなんて…!」
「……ガキだな、お前は」
「変態!」
「なんなら一緒に着替えるか?」
「へ、部屋で着替える!」
「…………冗談だっての」


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