この星華高校には、最強の双子と生徒会長が居る――それはここらでは有名な話で。

「なまえー、ちょっといいか?」
「……なまえは今、女の子に呼ばれて出て行ったところらしいぞ」
「なんだ……美咲ちゃん、なまえを引き止めてくれなかったの?」
「ええい、学校でその呼び方はやめろ!」

 鮎沢に殴られながらも教室を出ると、窓から中庭が見えた。ああ……またか、なまえのやつ。

「あの、なまえ先輩好きですっ! お友達になってください!」
「え、いきなり!? ど、どうしよ……」

 なまえは男女ともに人気があり、ああして同性から告白を受ける事も度々ある。普段は俺か鮎沢がガードしてるけど、今日は間に合わなかった。……仕方ない、今からでも行くか。

「なまえ、探した。こんな所いたの」
「拓海」
「あ、碓氷先輩……!」
「ごめんねー、悪いけどなまえは俺のだから。諦めてくれる?」
「え……」

 俺の発言に驚いている後輩はほっといて、なまえを連れて鮎沢の所へ戻る。鮎沢も心配してたみたいで、なまえを抱きしめると、何もなかっただろうな!? と確認し始めた。

「美咲ちゃん、そんなになまえを心配してくれるんだ?」
「だから“美咲ちゃん”をやめろ。なまえは私の妹同然だぞ!? 心配に決まっているだろう!」
「美咲、女の子に告白されたー!」
「………またか」

 鮎沢によしよしと宥められながら、なまえは少しズレた答えを出していた。

「私って男っぽいのかな」
「……何言ってんの、なまえ。女だよ充分」
「で、でも、女の子から告白されたし……私もっと女の子らしくなろう…」
「だ、ダメだなまえ! なまえがそれ以上可愛くなったら私や碓氷だけじゃガードしきれなくなる!」
「……鮎沢の言う通りだよ、なまえ。少しは自覚してくれないかな、まったく……」
「??」


 最強の双子
 伝説その1、同性にもモテる


「なまえは本当に無自覚なんだな」
「そうだよ。美咲ちゃん並みにね」
「なっ、私は無自覚なんかじゃ」
「……自分が可愛い事に気付いてないよ」
「……っ」
「なまえもね、まったくの無自覚」
「? 拓海何の話してるの??」
「……ほらね、分かってない」


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