自宅のリビングのソファで煙草を吸って寛いでいると、パタパタというスリッパの音が聞こえてきた。そちらへ目を向けると、可愛い我が娘が小さな手におにぎりを持って立っていた。

「ん、どうした? なまえ」
「お父さん、おにぎり!」
「……なまえが作ったのか」
「うん!」

 お父さん、ご飯まだでしょ? と微笑んで差し出すので、おにぎりを受け取る。小さな手で握られたそれは少し歪な形をしていて、なまえが俺の朝食のために一生懸命握ってくれたのだと思うと、その姿が想像出来て口角が上がった。

「なまえ」
「なぁに、お父さん」
「……いただきます」
「うん!」

 軽く頭を撫でてやり、吸っていた煙草を灰皿に押し付けると、小ぶりなおにぎりを口に運んだ。



「………なまえ、これ甘い」
「え、あ…お砂糖入れちゃったのかな」
「(ベタだな)……ま、いいよ。食えるから」


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