男として、一言言わせてほしい。俺の妹は無防備すぎる。今目の前でキャミソール1枚で寝ているのは、妹のなまえだ。暖房を入れているとはいえ、今は真冬。いくらなんでも寒いだろう。ベッドの上で丸くなり、ころころと寝返りを打っている。

「……んう…」

 小さく唸りながら眠る姿は、兄の目から見てもどこか色気を感じる。いつの間にこんなに成長したのかねぇ…と、まるで親のような感情まで芽生えた。

「ったく、寝る時にこんな無防備なのコイツくらいだろ……」

 足元で雑に畳まれていた毛布を広げて掛けてやると、大きな目がぱっちりと開く。

「お兄ちゃん…?」
「なんだよ、起きてたのか」
「……起こされたんだよ」

 目を擦りながら起き上がると、ふわあと大きな欠伸をする。……今気付いたが、コイツ俺のベッドで寝てたのか。そりゃそうだよな、ここは俺の部屋だ。なんで今頃になって気付いてるんだ、俺は。

「なまえ、お前も酒飲むか?」
「私飲めないもん」
「……お前そんなに弱かったか?」
「うん、1杯が限界」
「じゃあ駄目だな。帰れないほど酔わせちまったら、ナナに怒鳴られる」

 ナナはむしろ、俺よりなまえを愛してるんじゃないかっていうくらいだからな。とりあえずナナが帰ってくるまでは、兄妹水入らずってのを楽しむとするか。



「……何? じろじろ見ないでよ」
「目のやり場に困るんだよ、何でもいいから服着ろ。お兄ちゃんでも俺も男なんだよ」
「む……ナナ姉に言ってやる。お兄ちゃんは変態でしたって」
「……やめてくれ、本気で殺される」


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