日曜日。今日は1日中寝ていられる、久々に課題も出ていない。やったー!――そう思いながら温かいベッドの中へ再び潜り込むと、ノックもなく部屋のドアが開いた。とんでもなく嫌な予感がする。

「なまえ、ちょっと起きてくれないか?」
「……お兄ちゃん?」
「ああ、合わせたい服があるから。新しいワンピース欲しいって言ってたろ?」
「……お兄ちゃんが作るのは、外で普段着られるような物じゃないよ、ドレスだよ…」
「ワンピースだよ。ほら、起きろなまえ」

 毛布を剥がされ、急な寒さに体が震える。腕を引かれて寝室から引っ張り出され、リビングに行くなりキラキラと輝くドレス(なまえのためのワンピースだ、と言い張られた)を合わせられて、裾が少し長いな、などとお兄ちゃんが呟き始めた。

「よし。もう少し裾上げして、この辺をアレンジすれば着られるな」
「……お兄ちゃん。私もヤザガクだけどさ、これを着て登校する勇気はない」
「行けるさ。イザベラや俺と一緒に歩けば何の違和感もない」
「………」
「良い素材がないか探してくるよ」

 そう言ってお兄ちゃんは瞬く間に家を出ていき、ぽつんとリビングに残された私に着せられたドレスだけが、キラキラと揺れて輝いた。

 お兄ちゃんの作る服、好きだけどさ…好きなんだけど(調子に乗るから本人には言わないけれど)……やっぱりちょっと、派手だよね。



「まあ、なまえ! 可愛いドレスね。ジョージの手作りかしら」
「違うよイザベラ。作ったのは俺だけど、これはワンピースだ」
「ワンピース? てっきりドレスかと…」
「いいのよ、イザベラさん……私もドレスにしか見えないから」


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