今日は雨だ。せっかく妹のなまえがやりたがっていたテニスを教えに、近くのコートへ行く予定だったのに。これも台風の影響なのだろうか。
…俺のすぐ隣にも、台風が来ているんだが。
「なんで今日雨なの!」
雷まで落ち始めた。そんな大声で叫ばれても、俺にはどうしようもない。とりあえず背中を撫でて、まぁまぁと宥める。
「来週晴れたら連れてってやるよ」
「今日したかった! お兄ちゃんとテニス!」
「それは俺も一緒。今日は部活も無いし、せっかくなまえもテニス始めたしな」
1日中降り続いている雨で、部屋も少し冷えてきた。窓際で雨雲を睨んで丸くなっている小さな背中にそっとパーカーを掛けてやり、自分もまた別の上着を着て、背中合わせに座る。
「肩、冷やして壊したりするなよ。テニスやるんだからよ」
「……うん」
雨の日の約束
「お兄ちゃん重い。寄りかからないで」
「…………」
「ちょ、体重かけないで!」
「……そんなに重いか? 俺」
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