部活を終えて自宅に帰れば、室内はやけに静かだった。リビングに顔を出すと、そこでは妹がぐったりとしていて、見るからに熱があるようだ。

「なまえ!?」
「お兄…ちゃん?」
「ちょっといいかい?」

 そっと額に触れると少し汗ばんでいて、熱もだいぶ高いようだ。ベッドに運んで寝かせるために、細い体をゆっくりと抱き起こす。

「なまえ、少し起きられるかな…つらい?」
「うん…」

 できるだけ負担をかけないように抱き上げて、部屋へと連れていく。ベッドに寝かせて布団を掛け、熱を測らせた。

「あー…38度5分……だいぶ高いな」
「お兄ちゃん…」
「ん? 大丈夫だから、なまえは大人しく寝てる事。分かった?」
「…うん」

 一旦部屋を出て、水に濡らしたタオルを持ってくる。額にのせてやると、気持ちよさそうに目を細めた。

「熱はすぐ下がるから。今日はゆっくり休む、約束だよ」
「…はい」

 小指を出して、指切りげんまんを小声で歌いながら指を軽く揺らして離すと、なまえはゆっくり目を閉じた。

「おやすみ」
「……お、兄ちゃ…」
「しばらくここにいるよ」

 手を軽く握ると、なまえはすぐに小さな寝息を立て始めた。



「夕飯はお粥になるかな」
「……お兄ちゃん」
「ん? 起きてたのか」
「お粥、卵がいいな」
「わかった」


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