「…どうした、なまえ」

 娘のなまえが、さっきからずっと俯いている。いつもならもう眠っている時間の筈なのに、何故か今日はまだ起きているのだ。

「寝ないのか?」
「眠くない…」
「…そうか。だがもう10時をまわっている。早く寝ないと、明日起きられないぞ」
「…うん……寝てみる」

 頷いて立ち上がると、自然と欠伸をしていた。どうやらもうすでに眠くなってきたようで、目を擦っている。

「眠いんだろう。部屋へ行ってもう寝なさい」
「…ん、おやすみなさい」
「ああ。おやすみ」

 さっきまで眠くないなどと言っていたくせに、ものの数分で瞼が重くなってしまっているなまえに頬が緩む。ゆっくりと頭をひと撫でしてやり、部屋へ戻る小さな後ろ姿を見送った。


***


「なまえ、起きろ。なまえ」
「んー……」
「早く起きるんじゃなかったのか、なまえ」
「あとちょっと…」
「………」


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