私のお父さんはとても厳しい。優しい時ももちろんあるけれど、普段はすごく厳しいのだ。今日もせっかく友達とお買い物に行けたというのに、走って帰っている最中。ああ、もうこんな時間。早く帰らなくちゃ。

「ただいま! はぁ、はぁっ…」
「なまえ、今まで何をしていた! 門限は5時だと約束しただろう!」
「ご、ごめんなさい!」

 門限が5時だなんて、今時早過ぎるよ…お父さん。友達の家だって、みんな7時くらいまでは大丈夫なのに。お母さんに話しても、お父さんはあなたのことが心配なだけなのよ、って一言だけだった。

「まったく…次からは門限をしっかり守るように」
「うん…」

 説教を終えたお父さんは、晩御飯の料理に箸を伸ばした。私もそれに続いて、晩御飯に手をつける。テレビもつけずに静かに食事をしていると、ずっと黙っていたお父さんが口を開いた。

「なまえ、」
「…はい」
「門限だが……6時までなら、延ばしてもいい」
「え、」
「…少し厳しいんじゃないかと、母さんと話して決めた」
「本当?」
「……ああ」
「ありがとう、お父さん!」

 抱きついてお礼を言えば、大声で喝が入った。


 たるんどる!


「なまえ! 突然人に抱きつくとはなんだ、たるんどる!」
「え、ご、ごめんなさい!」
「ふふ、なまえったら。よっぽど嬉しいのね」
「だ、だが!」
「いいじゃないの、微笑ましいわ」


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