今日は日曜日。もちろん1日中部活があるつもりで、留守番のなまえを家に残して学校へ向かった。しかし、部活どころか人っ子一人居ない。どういう事かと首を傾げれば、目に留まったのはテニスコートの入口に掛けられた札。
『柳生、部室へ来い→』
手書きだ。……矢印なんて書かなくとも、部室の入口くらい分かるというのに。
「やれやれ、一体どういうつもりでしょうかね」
仕方無く矢印通りに部室へ向かい、ドアを開ける。その瞬間に弾け飛んだクラッカー、勢いよく割られた手作りのくす玉、そして祝福の声。
「お誕生日おめでとうございまーす!」
「おめでとう、柳生」
「おめでとう、兄さん」
「な、なまえ…!? 留守番を頼んだはず…何故学校に…?」
「兄さんの誕生会するからおいで、って幸村先輩が」
「フフッ…実の妹に隠して会を開く必要はないだろう?」
それはそうですが…と一瞬考え込むが、なまえ達からケーキやら飲み物やらを勧められ、それらを受け取る。
「兄さん、表情カタいよ!」
「こ、こら…なまえ…やめなさい」
なまえに頬を抓られ、弱々しく注意する。それでも止めないなまえは、笑顔で言った。
「せっかくの誕生日だもん、こんな時くらいたくさん笑わなきゃ!」
「そ…そうでしょうか…」
「うん! ほら、兄さん! 笑顔!」
「…そう、ですね」
軽く微笑むとなまえも嬉しそうに笑い、ケーキを頬張った。
「あれ、兄さんケーキ食べないの?」
「…このプレゼント達だけで充分ですよ」
「じゃあ俺食べていいかよぃ?」
「駄 目 で す。これはなまえにあげましょう」
「ありがとう、兄さん!」
「…すごい迫力で即答だったぜぃ」
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