部屋の掃除を終えてドアを開けると、今まさに部屋へ入ってこようとしていたらしいなまえ姉ちゃんが居た。なまえ姉ちゃんは他の姉ちゃん達より少し背が低めで、俺から見ても小さくて可愛い姉ちゃんなんだ。

「なまえ姉ちゃん! 何か用? 掃除ならもう終わったよ?」
「そうみたいね。掃除が一段落したみたいだから、おやつに呼びに来たの」
「おやつー? 今日は何?」
「今日はカップケーキを焼いたのよ」
「食べる食べるー!」

 なまえ姉ちゃんが作るカップケーキ、そこらのケーキ屋さんなんかよりずっと美味しいんだよね。いつも休みの日には何かしらお菓子を作ってくれるから、楽しみなんだ。

「はい。英二は2つね!」
「やったー! あれ、なまえ姉ちゃんは1個?」
「私は1個でいいの。これ少し焦げちゃったしね」

 そう言ってなまえ姉ちゃんは、ケーキの焦げた部分を指差して困ったように笑った。そのケーキを手に取って、自分の分のうちの1つと交換する。

「え、英二! いいのよ、」
「なまえ姉ちゃんが作ってくれたんだから、俺がこっちでいいよ!」
「でも焦げてるし…」
「大丈夫! はい。なまえ姉ちゃんのはコレ!」

 交換したケーキを差し出すと、なまえ姉ちゃんは(申し訳なさそうにしていたけれど)、笑顔で受け取ってくれた。

「んじゃ、いっただっきまーす!」
「ちゃんと飲み物と一緒にね?」
「ん。美味しいよ、なまえ姉ちゃん!」
「ありがと。来週は何がいい?」
「んー…またケーキかなぁ…」
「ふふ。決めておいてね」


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