「疲れたー……」

 今の私は学校帰りで、非常に疲れている。リビングに入るなり、母の出迎えも聞き流してソファへ倒れ込む。そのままゆっくり横になると、疲労が一気に込み上げてきて、瞼が重くなってきた。

「ねむ…」
「ずいぶん疲れているようだな、なまえ」
「……蓮二」
「どうせ部活の練習試合か何かで、はしゃぎすぎたんだろう。違うか?」

 図星。まったく、私の双子の蓮二は勘が鋭くて困る。今日は練習試合でかなり劣勢だっただけに、応援もいつも以上に頑張った。喉もイガイガと痛むほどだ。

「お前が明日の朝、喉が枯れている確率は100%だ」
「……もう喉痛いもん」
「なまえ、夕飯の後に俺の部屋へ来い」
「へ? 何で?」
「…のど飴くらいなら持ち合わせがある。別に、要らないならば構わんが」

 すたすたと歩いていってしまう蓮二の背中に向けて、慌てて起き上がってから“要る!”と叫んだ。振り返った蓮二は微笑んで、後でな、と言い残して部屋へ戻った。

「あなた達双子は、本当に仲が良いわね」
「お母さん」
「本当に、蓮二はなまえの事は何でもお見通し。母親の私よりもね? 恐れ入るわ」

 クスクスとお母さんが笑い始め、つられて私も笑う。

「なんだ、なまえ。やけに楽しそうだな」
「蓮二と私の仲が良いって、お母さんが」
「……まぁ、悪くはないと俺も思う」
「…蓮二大好き!」
「やれやれ」

 思わず飛びつくと、蓮二は頭を撫でてから抱き返してくれた。


[ back ]