「清純…」
「んー、どうかした? なまえ」

 俺が部屋で読書をしていると、なまえがそっと入ってきた。その顔を見てみれば、今にも泣き出しそうで。

「なんだ、失恋か何か?」
「ばか…」
「じゃあ何かな?」
「しゅ…」
「…しゅ?」

 なまえが背後に回した手に持っていたのは…紛れもなく、今日出された宿題だった。俺と違って、今日のなまえはアンラッキーだからね。きっと勉強運が最悪だった、ってところでしょ。

「宿題教えて」
「…やっぱりね」
「えっ」
「なまえの今日の勉強運と仕事運、最悪だからね。宿題がはかどらなかったのも分かるよ」

 うんうんと頷くと、清純の馬鹿!とでも言いたげな目で見つめられる。言葉に出して言ってこないのは、言ってしまえば俺が宿題を教えないと分かっているから。…だと思う。

「教えてくれるの、くれないの」
「…分かったよ。教えるから落ち着いて」
「やった、ありがとう」
「そのかわり…なまえのクラスに居る加藤さん…紹介してくれない?」
「……ばか」

 ま、結局加藤さんを紹介してはくれたものの、加藤さんには彼氏が居たんだよねー。…久々のアンラッキー。



「ふん。フラれてやんの」
「…そういうなまえこそ、転んだ時に好きな人にパンツ見られたんだって?」
「うっ…なんで知って…」
「さぁ、なんでかな?」
「……」


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