※杏ちゃん受験生


「杏、杏ー?」
「何? お姉ちゃん」

 呼ばれて階段を下りていくと、そこには大きな段ボールを抱えたお姉ちゃんがいた。

「どうかしたの?」
「これ見て、荷物が届いたの。親戚の伯母さんからだわ」
「本当? 何かしら!」

 お姉ちゃんと一緒にごそごそと、伯母さんからの荷物を開けてみる。中にはチョコやクッキーの詰め合わせ、お茶のセットが入っていた。お姉ちゃんも私も、思わず目が輝いてしまう。

「すごーい! これ、高いお店のお菓子じゃない? でもなんで急に…」
「あ、手紙も入ってるわ。読むわね」

 ――杏、なまえ、桔平へ

 杏、志望校に合格したのね。わざわざお母さんが電話をくれたわ。本当におめでとう。お祝いに、少しだけれどお茶とお菓子送るわね。
 なまえや桔平も、学校の勉強を頑張るのよ?
 杏と一緒にお菓子食べてね。
 また時間が出来たら、遊びにいらっしゃいね。お小遣い用意して待ってるわ。

 ――伯母さんより

「杏へのお祝いみたいね」
「うん。今度お礼言わなくちゃ」

 お姉ちゃんは軽く笑うと、箱の中から紅茶の茶葉のパックとクッキーを少し取り出して、キッチンへ入っていった。

「お姉ちゃん?」
「桔平はいつ帰るか分からないし、先にちょっと食べちゃおっか」
「うん。そうね!」

 こっそり食べ始めた瞬間、お兄ちゃんが帰ってきちゃったんだけれどね。



「ただいま…ん? なんだ、その箱」
「伯母さんから。桔平もお茶飲む?」
「ああ、頼む」
「せっかくお姉ちゃんと2人で、恋の話でもしようと思ったのに…」
「じゃあ杏、あとで私の部屋で話そっか」
「うん。あとで行くわ!」


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