今日の昼飯は、なまえの手作りのたこ焼き。家で作ったものを部活の差し入れにと持って来てくれた。なまえが作ったたこ焼きは本当に美味くて、特に金ちゃんのお気に入りになっている。

「美味い! めっちゃ美味いで、なまえ!」
「ふふ。ありがと、金ちゃん」
「いや、美味いっすわ…店とか出せるんちゃいます?」
「光はまたそうやって。お世辞言っても何も出ないわよ」

 笑いながら皆に答えるなまえを見て、俺も、とたこ焼きに手を伸ばす。金ちゃんに取られかけたが、無言で毒手のプレッシャーをかけて死守した。

「なまえ、いつも悪いな…差し入れ持って来てもろて」
「いいのよ。今日のは自信作だから持って来ただけだし…蔵ノ介もちゃんと食べた?」
「ん、美味いで」
「そう。よかった!」

 こっちはチーズが入ってて、こっちはキムチで…と、この前インターネットで調べていた変わりダネまで出してくる。ほんまにあんなん美味いんかと思いながら手を伸ばして食べてみれば、意外にも美味いので驚く。感動していると、あっという間にたこ焼きはなくなっていた。……大半はもちろん、金ちゃんの腹の中に。

「あれ? なまえ、もう終わりなん?」
「そうみたいね。また今度作ってくるから、待ってて?」
「金ちゃん食べすぎやでー」

 金ちゃんの首を軽く絞めながら言うと、なまえが少し微笑んだ。



「今度は金ちゃん専用パック作るわ」
「…弟の俺にはそういうの無いんや?」
「じゃあ…今度は蔵ノ介専用パックも作るわね」
「ん、大盛りな」


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