日曜日。英二との自主練習を終えて、俺はくたくたになって家に帰った。真っ先に迎えてくれたのは、家で留守番をしていた姉さんだった。

「おかえり、秀一郎」
「ただいま」
「ずいぶん疲れてるみたいね。こんなに暗くなるまで、どんな練習してきたの?」
「はは…ちょっとさ、今日のトレーニングはきつかったんだ」
「トレーニングもいいけれど、少しくらい休みながらやりなさいよ?」
「ああ」

 軽く肩を叩かれて、小さく返事をする。バッグやラケットを持って振り向くと、姉さんが台所へ入っていくのが見えた。部屋へ戻ろうかとも思ったが、そのまま姉さんの後をついていき、台所へ入る。

「どうしたの?」
「ん? うん、たまには手伝おうかと」
「ありがと。でも、着替えくらいしてきたら?」
「あ…そうだった。じゃあ、ちょっと着替えてくるよ」

 部屋で着替えて戻ってくると、姉さんが温め直した夕飯を運んできてくれた。

「あれ? もしかして、準備は終わっちゃったかな」
「いいの。秀一郎は疲れてるでしょ? 早くご飯食べて寝なさい」

 姉さんは苦笑して、熱いお茶を淹れてきてくれた。疲れた体に、姉さんの優しさがゆっくりと染みていくようだった。



「なまえ姉さん、洗い物は俺がやるから」
「いいのに」
「いや、俺だってたまにはさ」
「…じゃあ、お願いしようかな」


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