「周助、起きて」
「……ん、何…?」

 弱い力に揺り起こされてゆっくりと目を開けると、そこには僕の双子のなまえがいた。まるで鏡を見ているかのようにそっくりな彼女が、僕の顔を覗き込んでいる。

「どうかした? なまえ…」
「姉さんがね、周助呼んでって」
「姉さんが…?」

 こんな早い時間から何だろうと疑問に思いながら、起き上がってベッドを出る。なまえに軽くお礼を言って部屋を出ると、確かに姉さんが僕を呼ぶのが聞こえた。

「何? 姉さん」
「もう。遅いじゃないの」

 姉さんは用事で出掛ける直前だったようで、遅くなった事を少しだけ怒られた後、いくつか頼み事をされた。分かったよ、と返事をして、姉さんが出掛けていくのを見送る。昨日は寝たのが遅かったし、もう少しだけ寝ようと部屋へ戻ると、なまえが僕のベッドに潜り込んで眠っていた。

「あれ…なまえ?」
「………ん」

 すっかり気持ち良さそうに寝息を立て始めていて、すぐには起きそうもない。かと言って、同じベッドで一緒に寝るわけにもいかないだろう。とりあえずベッドの端に座り、ずいぶん久し振りに見る気がするなまえの寝顔を眺めていた。

「…仕方ない、か」

 なまえのベッドを借りようと思い、立ち上がる。眠っているなまえの頭を優しく撫でてやり、軽く微笑んでなまえの部屋へと向かった。



「なんで周助が私のベッドで寝てるの?」
「なまえが僕のベッドで寝てたから…かな」
「そっか…ごめん。なんで私、周助のベッドで寝ちゃったのかな?」
「……それは僕が聞きたいかな」


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