わんの双子のなまえは、ゴーヤが大好きだ。
「あい、凛! なんね、ゴーヤばっかり残して。ゴーヤに失礼さー!」
「…なまゴーヤの気分じゃないさー」
慌てて言い訳を考えて、適当に答える。……が、なまえにそんな言い訳が通用するはずもなかった。
「もういいさー…そのゴーヤ、ここに置きなさい。私が全部食べるさー」
「……」
なまえの顔色を窺いつつ、無言でなまえの皿にゴーヤを移す。移した端から伸びてくる箸が、ひょいと拾って食べていく。醤油をかけたりマヨネーズをかけたりしながら。……どこがそんなに美味しいのか分からんさ。
「…なまえ、それ美味いか?」
「でーじまーさん!」
目の前で大きめに切ったゴーヤを大量に口に含み、満足そうに食べる。……わんは、見てるだけでも限界さー…。
「凛、早く醤油」
「…ああ…おう……」
若干気持ち悪くなりながらも、醤油を手渡す。なまえは残りのゴーヤに醤油をかけて、ご飯と一緒に口に流し込んだ。……あんなにゴーヤが…永四郎みたいさー…。
「…わ、わん…ちょっと…」
ゴーヤを食べ切って幸せそうな顔をするなまえを残し、わんは新鮮な空気を吸いに外へ出る事にするのだった。
「凛?」
「あ…裕次郎…わんもう無理さー」
「何ね、急に」
「なまえはなんでゴーヤなんか食…」
「ゴーヤがどうかしましたか?」
「え…永四郎……」
―――――
※地域等により違う意味や言い回しもあるかもしれません。
わん:俺、私etc
なま:今
でーじ:すごく
まーさん:美味しい
あい!:人に呼びかける時のかけ声。他にも多数言い回し有り。
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