私が任務を終えて真っ先に部屋へ戻るのは、大好きな姉さんが待っているから。今も任務を終えたばかりで、姉さんが待つ部屋へと走っている最中だ。

「あ、リナリー! おかえりーっ!」
「兄さんごめんなさい。今は兄さんより、姉さんに会いたいの!」
「……リナ、リ……! 僕よりなまえに…!」
「室長、早くハンコください。室長!」

 皆に囲まれながら落ち込む兄さんに、心の中で謝りながら先を急ぐ。部屋の前に立ち、数回ノックしてからドアを開けると、姉さんが椅子に座って読書をしていた。

「…おかえり、リナリー。ずいぶん騒がしいのね。何かあったの?」
「ううん、何もないわ。姉さん、ただいま!」
「お疲れ様。お茶を淹れるわね」
「ありがとう、姉さん」

 姉さんが淹れてくれたお茶を受け取ってお礼を言うと、どういたしまして、と柔らかな笑顔で返してくれる。その笑顔がいつも、次の任務への勇気と元気をくれるのだ。

「姉さん」
「なぁに、リナリー」
「大好きよ、姉さん」
「リナリー…ありがとう」

 ――私も、リナリーが大好きよ。

 ふわりと微笑む姉さんは、とてもとても綺麗だった。



「兄さんの所へ、報告に行かなくていいの?」
「………あ、そうだった!」
「きっと待っているわ。早く行きなさいね?」
「うん、そうする」

「うう…リナリー……やっぱり僕よりなまえが…」
「室長、盗み聞きはタチ悪いですよ」
「室長、ハンコ」


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