夜中の2時を過ぎた頃。教団の中では凄まじい叫び声が飛び交っていた。そう、原因は…コムリンの暴走だ。

「ギャー! なまえ、助けてー!」
「コムイ! 何でそんな物作ったのよ!」
「わー、こっち来たさ!」
「兄さん何とかして!」
「あわわわリナリーまで! そんな事言ったってー!」
「退け、斬る!」

 そう言ってイノセンスを発動した神田がコムリンを叩き斬って破壊し、騒動はおさまったのだった。その後私の双子であるコムイは、リーバー班長達から一晩中こっぴどく叱られ続けた。

「うう…なまえ、僕が頑張って作ったコムリンが…」
「コムイ、仕事して」
「あれさえ完成すれば、皆の仕事を一瞬でこなしてくれる夢の機械だったのに…」
「コムイ、仕事して」
「リナリーにも怒られたし…」
「これで最後よ。コムイ、仕事して」

 徹夜で資料を纏めていたリーバー達にとって、昨夜の騒動は大変な迷惑で。無駄な体力を使わせてしまったと、私からもリナリーからも何度も頭を下げた。女2人から頭を下げられたら許さないわけにもいかないだろうと言って、笑って許してくれたが…。

「ごめんよ…なまえ、リナリィイ!」
「コムイ。悪いと思うなら仕事して」
「…はい」

 今回の事でさすがに懲りたらしく落ち込んでいたコムイは、おとなしく書類にハンコを押し始めた。……まぁ、確かに私や妹のリナリーにとっては、こうして頭を下げなければならない事も度々あるんだけど。私にとっても、リナリーにとっても…大切な兄弟なのよね、これでも。


 憎めない双子(…仕事はしてください)


「なまえ…僕もう無理…」
「こら! 寝ないでコムイー!」
「あとのハンコお願い…」
「いやー! 起きてよコムイ!」
「ね…姉さん、私も少し手伝うわ」
「リナリー…! ありがとう大好き!」


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