俺の双子の妹のなまえは今、新八達と協力して万事屋中の大掃除をしている。

「ちょっと、銀ちゃん!」
「あー…なんだー」
「何だじゃないっ、退けて!」
「いてっ」

 てきぱき掃除機をかけるなまえが、畳に寝そべる俺の腰を掃除機の先で容赦なくガスガスと突いてくる。埃っぽいし痛いし五月蝿いしで、寝ちゃいられない。襖の陰からは、箒を持った新八とちり取りを持った神楽が、静かにこっちを覗いていた。

「…銀さん。なまえさんって確か、銀さんの双子ですよね」
「あ? だったら何だよ」
「なまえはあんなに働き者なのに…ああ。働き者な部分や能力は、全部なまえが持って生まれたアルか」
「どういう意味だ神楽ァア!」
「銀ちゃん退けてったら!」
「だー、もう! お前ら何だってんだ!」

 皆して俺を邪魔者扱いか、まったく!
 ただ晴れた日曜日を、有意義に寝て過ごしていただけなのに……追い出された挙げ句、なまえと比べられるとは。もうパチンコでも行っちゃおうかなァ…。

「銀ちゃん。どこ行くの?」
「…げ、なまえ」
「何? その"やべ、見つかった!"みたいな目は」
「いや…その……お出かけに」
「パチンコはダメよ」

 ――ギクッ

 双子だからか知らねェが…嫌なとこばっかり鋭いぜ、昔からよ。

「…銀ちゃん、苺パフェ食べよ?」
「……あ?」
「今日は私が作ったから」

 にっこり笑うなまえの後ろには、美味しそうにパフェを頬張る神楽や新八。もちろん、珍しく大人しくしていた定春にも、ご褒美に特大パフェが与えられている。

「銀さんも早く食べましょうよ! なまえさんのパフェ、美味しいですよ!」
「ダメな銀ちゃんにはもったいないネ! それは私が食べてやるアル」
「コラァ、神楽ァア!!」
「……ふふ」


(銀ちゃんが邪魔者だなんて、思うわけないでしょう? 私にとっての、たった1人の血の繋がった家族…たった1人の兄さんなんだもの!)


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