「姉さん、先行っちゃうわよ?」
「まっ…待って、なまえ!」

 せっかく長期任務も終わって久々に皆で出かけられる日だというのに、姉さんったら服が決まらなくて。アレンもリナリーも、皆も待っているのに…。

「ごめんね。姉さん服決まらないみたいだから、私見てくるよ」
「いいのよ、皆で出かけるのは久しぶりだもの。緊張してるんだわ、きっと」

 にこりと笑ったリナリーが、私に応じる。姉さんの部屋に入ると、服を何着も手にして悩む姿があった。姉さんったら……。

「今着ているのも可愛いと思うけどな、その青い服。前に出かけた時に、一緒に選んで買った服よね?」
「なまえ……こ、これ…似合うかしら…?」
「うん。だって私が一緒に選んだのよ? 自信持って、姉さん。美人なんだもの」

 散らかった服を拾い上げながら、姉さんの支度ができるのを待つ。青い服で身を包んで少し顔を赤らめた姉さんと一緒に、皆の所へと向かった。

「ごめんなさい、待たせてしまって」
「いいんですよ。さぁ、行きましょう」
「姉さん、早く!」
「…ええ」

 アレン達と一緒に教団の扉を開き、胸いっぱいに外の空気を吸い込む。早く行こ!と急かしながら手を差し出すと、控えめに笑った姉さんが私の手を取った。



「あれ? なまえ達、手繋いでるさ!」
「ふふ、久々のお出かけなんだもの。二人ともはしゃいでるんだわ」
「俺とも手繋ぐさ、なまえー!」
「なまえ! 反対側の手、いい?」
「うん! リナリーも手繋ごう! こういうの、両手に花って言うのよね」
「なまえったら」

「……………お、俺が先に…」
「ラビ。今日はなまえと手を繋ぐのは諦めてください」
「…今日はアレンも冷たいさ」


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